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中東地域

中東と一口に言ってもその文化的範囲はカフカスから北アフリカまでの広大な領域を含み、民族的特性や地理的特性は多岐に及ぶ。しかし、多くは乾燥地域であり、基層をなしている文化の一つである遊牧生活が、共通した一定の特徴を形成している。酷暑と乾燥を防ぐためのゆったりとした、衣服に被り物である。特に女性のベールはこの地域を象徴するものとなっている。ベールの風習はイスラーム以前からのものであったが、『コーラン』により再解釈され様々な形態が、また男性の被り物であるクーフィーアとともに、現在まで根強く残る伝統となっている。

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東アジア・東南アジア地域

中国南西地域から東南アジアにかけての地域は民族衣装の宝庫であり、21世紀現在でも多様な衣装を維持している。ヒマラヤ山脈や、メコン川といった大河により形成される複雑な起伏と盆地とが極めて複雑な地形を形成しているのがこの地域である。この複雑な地形で見られる特徴は各民族の居住地域の特性によりさまざまになる。寒冷な高地すむチベット族やナシ族は家畜の革、山地のミャオ族は大麻、低地のタイ族は綿といった具合である。このような多種多様な衣装は、外からの世界からみられた時の指標ともなり、彼らは衣装の色で識別され、色の名前が民族集団の名称の由来ともなっていた。

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ヨーロッパ地域

にわかに民族自決が叫ばれオスマン帝国のバルカン支配が崩壊した時代、それがこの民族衣装の時代だ。特にバルカン地域では国家、民族、宗教、言語が入り乱れ混沌とした中で、それらを明瞭な輪郭でかたどる役割をなしたのが、かれらの衣装だった。この地域で特徴的なのは、羊毛を素材としていることである。これはこの地域で牧羊が盛んだった証である。また、エプロンのような巻きスカートは、バルカン地域内での活発な交易の影響か、地域差を越えて見られるが、未婚、既婚の違いによる色合いや、上着との組み合わせによる地域差が見られるのが面白い。これらも単なる衣装ではなく、魔よけやお守りのような願いが込められているのも現代とは異なる特徴であろう。

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アメリカ地域

今なお多くの先住民が暮らし、伝統を受け継ぐアメリカ大陸では、今日でもなおアメリカらしさを象徴する衣装を百年前の写真から見て取ることができる。南米では高地特有の強烈な紫外線から守るためのひさしの大きい帽子ソンブレロやポンチョが目立つ。北米では、この時期なお移民の勢い衰えず、特にアジア地域からの移民が多かった。今日に続くヨーロッパの洋服もある意味ではこの時代では伝統衣装でもあるのだが、それと新移民の衣装とが混然一体となって、さぞ複雑な民族模様を形成していたのであろう。

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日本

日本の衣裳の歴史は極めて長く一貫しているが、江戸時代から写真の時代にかけての衣服は、基本的に平安の壮麗な装束から簡略化の一途をたどった先にあるものである。庶民の服装は無地の質素な生地が一般的に用いられていたが、江戸の庶民文化の隆盛によって、人々の服飾熱が高騰し、絢爛華美な染色や刺繍をほどこされたものも多く生産られるようになり、銘仙や綸子といった種類の絹織物も流行した。明治になり身分制度が改まると、庶民の衣料素材の制限から解放された庶民の間で、絹に対するあこがれから、外着として日常的に絹織物が着られるようになっていった。

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